上司から「AIエージェントで業務を効率化できないか」と言われ、開発会社に見積もりを頼んだ。すると、会社によって金額の桁が違った。

自社の場合はいくらかかるのか、何から手を付ければいいのかが分からない。

費用を決めているのは、対象業務の数と作り方です。PoC(お試し開発)なら一つの業務に絞って20万円〜10日で始められます。

AIエージェント開発の費用は、対象業務の数と作り方で決まる

AIエージェント開発の費用は、対象業務が一つか複数かと、既存サービスを組み合わせるか一から作るかで決まります。

50万〜5000万円のように幅を持って語られるのは、この2つの条件を揃えずに金額だけを並べているためです。

AIエージェントは、決められた作業を人の代わりに実行し、途中の判断や処理まで自分で進めるしくみです。似た言葉との違いは次のとおりです。

  • 生成AI:文章を作るだけ
  • RPA(パソコン操作の自動化ツール):決まった操作を繰り返すだけ
  • AIエージェント:状況に応じて判断しながら業務を進める

複数の業務をまとめて要件定義すれば金額は上がり、対象を一つに絞れば下がります。この記事は、一つの業務から小さく始める場合の費用に絞って説明します。

費用を比べる前に、一つの業務を試したい段階か、複数の業務をまとめて入れ替えたい段階かを社内で決めておきます。

作り方は3つに分かれます。

方式 特徴 向いている場面
SaaS一体型 既存サービスを組み合わせて短期間で構築 まず試しに使ってみたい場合
構築型 複数業務の統合を前提に一から要件定義 業務全体を刷新したい場合
PoC型 一つの業務に絞り、対象と結果だけ決めて開始 専任担当者がおらず判断材料が欲しい場合

見積書で先に見る3か所

見積もりの桁が会社ごとに変わる最大の理由は、要件定義の範囲が揃っていないことです。相談する段階で対象業務と達成したい結果を先に伝えると、範囲を広めに取った見積もりを防げます。

届いた見積書では、次の3か所が書かれているかを見ます。

  • 対象業務(どの作業をAIに任せるか)
  • 開発範囲(どこまで作るか)
  • 含まれるものと別途費用(API利用料や保守は別か)

この3か所が無い見積書は、後から追加費用が出ても気づきにくく、他社の金額とも比べられません。

費用の内訳(外注費、API利用料、連携費用)

見積書の金額は、次の3つに分かれます。3つに分けて読むと、どの金額が何に対応しているかが分かります。

  • 開発の外注費(人件費)
  • AIサービスのAPI利用料(APIは、外部のAIサービスを自社のプログラムから呼び出す窓口)
  • 既存システムとの連携費用

このうちAPIの利用料は、多くの場合使った分だけ発生する従量課金です。開発費と運用費を分けて把握しておくと、後の章で説明するランニングコストも見込めます。

注意

API利用料を固定費のつもりでいると、利用量が増えたときに想定外の請求が来ます。開発費と運用費は分けて把握してください。

PoC(お試し開発)と本開発では、費用と期間と進め方がどう違うか

当社のPoC開発は一つの業務に対象を絞り、20万円〜・着手から10日で始められます。

複数の業務をまとめて要件定義する本開発は、数か月〜1年、数百万円〜の規模になります。

項目 通常のシステム開発 PoC開発
対象業務 複数業務をまとめて要件定義 一つの業務に絞る
期間 数か月〜1年 着手から10日
費用 数百万円〜 20万円〜
導入後に必要な体制 業務体制の変更・社員教育が必要 対象業務と結果を決めれば開始可能

最初から複数の業務を要件定義するには、業務の全体を把握して仕様に落とす担当者が社内に要ります。PoCなら対象業務と達成したい結果だけを決めれば開始でき、社内の準備も少なくて済みます。

専任のAI担当者がいない企業は、一つの業務に絞ったPoCで判断材料を作ってから、対象を広げるかを決めます。

どちらから始めるか

PoCから始める会社

  • 専任のAI担当者がいない
  • まず一つの業務で試したい
  • 判断材料がまだ社内にない
  • 使ってみてから広げるか決める

本開発から始める会社

  • 要件を仕様に落とす担当者がいる
  • 複数の業務をまとめて入れ替えたい
  • 対象業務と結果が決まっている
  • 最初から体制変更と教育を織り込む

PoCで作ったAIエージェントは、検証後もそのまま使い続ける

当社は、PoCで作ったAIエージェントを検証後に作り直さず、そのまま業務で使い続けます。検証は業務で使えるかどうかを確かめる作業で、使い捨てを作る作業にはしません。

一つの課題を解決したら次の課題へ移り、業務を一つずつAI化していきます。本開発への乗り換えを前提にした売り込みはせず、対象業務を広げるかどうかは実際に使ってみてから決められます。

PoCに向いている業務の見分け方

PoCに向いているかは業務の性質で見分けられます。確かめるのは次の4つです。

  • 毎日か毎週、くり返し発生している業務か
  • 入力、照合、下書き、検索のように、手順を言葉で説明できるか
  • 見積書や注文書、対応履歴のような過去の記録が残っているか
  • 最終確認は人が行い、AIはその手前を担当できるか

単発の業務は検証の効果を測りにくく、くり返し発生する業務ほど判断材料が集まります。感覚で判断している業務は、AIに任せる範囲を決めにくくなります。

4つに当てはまる業務があればPoCの対象にし、一つも当てはまらないときは対象業務の選び方から見直します。

20万円〜・着手から10日のPoC開発は、どう進むか

当社のPoC開発は、無料相談から業務での利用開始まで4つの段階で進みます。

段階 何をするか 注意点
STEP1 無料相談(30分 いまの課題と作業内容を聞き取り、AIで解決できる作業を説明する 開発内容が決まっていなくても相談できる
STEP2 対象業務と機能の決定 検証方法と費用を提示し、NDA(秘密保持契約)を結ぶ ここで対象範囲が確定する
STEP3 開発と検証(10日間 開発と、実データでの検証を行う 検証で使ったものをそのまま使い続ける
STEP4 報告と納品 検証結果と手順書を受け取る そのまま業務で使い始める

STEP2で対象範囲が確定するため、着手後に見積もりが変わることはありません。作り直しもありません。

この進め方の考え方は、AIエージェントのおすすめ比較の前に決めることでも説明しています。

PoC開発10日間の流れ
  1. DAY1-2 ヒアリングとデータ受領
  2. DAY3-7 開発
  3. DAY8-9 実データで検証と調整
  4. DAY10 報告と納品

AI化できる業務の例(3つの想定)

次の3つは、過去の記録が残っていて手順を言葉で説明できる業務を、AIに任せる想定の例です。

導入実績ではありません。自社の業務に当てはめて考える材料にしてください。

想定例 AIが読み取るもの AIが出すもの
案件別の利益の見える化 見積書、請求書、日報 案件ごとの利益の一覧。粗利率が低い案件に印を付ける
属人化したノウハウの引き継ぎ 技術者の判断基準を聞き取って文書にしたもの 問い合わせごとに、受注できるかの判定案と根拠
増員に頼らない受注処理 注文書PDF、商品マスター 受注一覧のExcelへの入力。判断がつかない明細だけ人に回す

1つ目は、手作業で集計していた業務を記録が残っている前提で自動化する例です。2つ目は、担当者しか分からなかった判断を根拠つきで残す例です。

見積もりの自動化は見積作成を自動化する無料AIツールの比較でも説明しています。

運用が始まってからかかり続ける費用(ランニングコスト)

開発が終わっても費用はゼロにならず、運用中は3種類の費用がかかり続けます。

AIサービスの利用料は、使った分だけ増える変動費です。連携費用と保守は、連携先や業務の内容、データの形式が変わるたびに発生します。

運用後にかかり続ける3つの費用
  • AIサービスの利用料。使った分だけ増える
  • 連携費用。連携先のシステムが増えるたびに
  • 保守と追加開発。業務やデータ形式が変わるたびに

最初は一つのシステムだけでも、対象業務を広げるたびに連携費用は積み上がります。開発費だけを見ていると、運用が始まってから想定外の請求に驚くことになります。

AIサービスの利用料は、開発費と分けて、幅を持たせて見積もります。

業務データを渡すときの秘密保持と、先に決めておくこと

外部の開発会社に業務データを渡す前に、NDAを結び、使うデータの範囲を決めるのが標準的な流れです。

当社もSTEP2でNDAを結んだうえで、対象業務を確定します。着手前に文書で決めておく項目は次の4つです。

  • 何を渡すか(使うデータ)
  • どのAIサービスを使うか
  • 誰がアクセスできるか(アクセス権限)
  • どこに保存され、いつ削除されるか

文書で決めておけば、情報システムの専任者がいなくても安全性を確認できます。外部のAIサービスへの情報送信を合意した範囲だけに限っているかも、見積もりを比べる物差しに加えてください。

社内ルールの決め方は生成AIの社内ルール、何から決めればいいかで説明しています。

貴社の課題をAIで1つずつ解決いたします。

1つの業務にしぼってAIエージェントを作るPoC開発を是非ご検討ください。開発・検証20万円〜。話がまとまっていなくても、お気軽に相談してください。

経費処理・資産計上・補助金の扱い(着手前に経理へ確認)

PoC開発の費用を経費で処理するか資産として計上するかは、金額と開発の内容で扱いが変わります。

経理担当と着手前に確認しておくと、途中で処理方法が変わる事態を避けられます。

補助金は制度が年度ごとに変わるため、検討する時点で国や自治体の最新の案内を確認します。この記事の時点の情報を前提にせず、申請のたびに確かめてください。

見積りをそろえる4項目

比べるのに必要なのは金額だけではありません。対象業務、期間、検証方法、別途費用(API利用料や保守)の4つをそろえておくと、会社ごとの金額差の理由が分かります。

よくある質問

AIエージェントは個人で開発できますか?

簡単なものなら個人でも作れます。ただし業務で使うには、実データでの検証と、動かなくなったときに直す体制が要ります。個人での試作と、業務に組み込んで使い続けることは分けて考えてください。

AIエージェントの作成費用はいくらですか?

対象業務の数と作り方(SaaS型、構築型、PoC型)で変わります。一つの業務に絞ったPoCなら、当社では20万円〜・着手から10日です。複数の業務をまとめる本開発は数百万円〜、期間は数か月〜1年が目安です。

AIエージェントを導入している企業はどんな会社ですか?

業種や規模を問わず、毎日か毎週くり返す業務を抱えている会社が対象になります。手順を言葉で説明でき、過去の記録が残っていて、最終確認を人が担える業務があるほど、PoCの対象を選びやすくなります。

専任のAI担当者がいなくても始められますか?

始められます。対象業務を一つに絞ったPoCなら、現場の担当者だけで判断材料を作れます。全社導入を最初に決める必要はありません。

まとめ

費用は対象業務の数と作り方で決まるため、見積書は金額より先に、対象業務と開発範囲が揃っているかを見比べます。専任のAI担当者がいない企業はPoCで一つの業務から始め、運用後のAPI利用料や保守の費用も費用に入れて考えます。

まずは、担当業務で毎日か毎週くり返している作業を一つ書き出してください。その作業にかかっている時間、AIに任せられそうな部分、渡してよいデータの範囲を書き出すと、次に決めることがはっきりします。会社として進める段階になったら、フォームからご相談ください。