配送先が増えるたびに、地図と注文一覧を見ながら順番を組み直す。近い場所から回るだけでは、納品時間帯や荷物の量を満たせない。こうした配車業務では、守る条件を整理し、候補を計算して担当者が確定する仕組みを試せます。

最短距離だけを目標にせず、必ず守る条件と、調整できる希望を分けることが出発点です。ここでは出発前の配送順序と車両割当を扱い、走行中の到着時刻予測や自動運転は対象にしません。

一つの拠点と便から試す範囲を決める

最初は対象拠点、配送日、利用できる車両、扱う荷物の範囲を絞ります。出力も、配送順序、車両への割当、予定時刻、確認が必要な配送の一覧までとします。顧客への通知や運転手への確定指示は、初期のPoCでは担当者の確認後に行います。

生成AIへ住所を並べて聞くだけで、すべての条件を満たす配車ができるとは限りません。Google OR-Toolsの時間枠付き配送問題では、地点間の移動時間や訪問可能な時間帯を条件として扱います。こうした数理最適化を中心に、必要なら書類からの項目抽出などをAIで補助する構成を検討します。

過去の正解ルートを大量に学習させる方式だけが選択肢ではありません。自社の条件を入力できるか、計算した候補を現場で確認できるかを先に調べます。

配送先と車両の条件を同じ単位でそろえる

整理する情報 確認したい内容
配送先 住所、実際の搬入口、訪問可能な時間帯
荷物 重量・容積・個数と単位、混載できない条件
車両 使用可能日、容量、出発地と帰着地
作業時間 荷積み、待機、荷下ろし、休憩に必要な時間
現場条件 車両制限、入場手続き、担当者が確認する事項

住所から位置を取得できても、搬入口が別道路にある場合があります。時間帯も「到着すればよい」のか「荷下ろしを完了する必要がある」のかで違います。曖昧な条件は担当者へ戻し、勝手に補いません。

OR-Toolsの容量制約の説明では、車両ごとの容量や複数種類の容量を扱う方法が示されています。実務では重量だけでなく、容積や積み合わせ、車種の適合を別々に整理します。法令や契約上の条件は責任者が確認し、計算結果が出たことを適法性の証明にはしません。

移動時間の前提も残す

地点間の移動時間を直線距離で代用すると、橋や一方通行などの影響を落とします。利用する地図・経路情報の対象車種、更新時点、時間帯、利用条件を確認します。予測値は実際の所要時間を保証しないため、遅延時に誰が組み直すかも決めておきます。

守れない条件を勝手に緩めない

必須の時間帯や容量上限と、「できれば早めに回りたい」といった希望を分けます。候補を出すために必須条件を緩める設計にはしません。条件を変えられる場合も、変更内容と承認者を記録します。

組合せが見つからない場合は、その状態を表示して担当者へ戻します。ただし、制限時間内に候補が見つからないことと、条件を満たす案が存在しないことは同じではありません。入力不足、条件の衝突、計算時間の上限を区別して確認します。

仮例:午後指定の配送が一台に集中する

以下は設計上の仮例です。午後の同じ時間帯を指定する配送が一台に集中し、積載量も上限を超えるとします。仕組みは配送を無断で省いたり、上限を増やしたりせず、未割当の配送と確認対象の条件を表示します。

担当者は追加車両の可否や、顧客と合意できる時間帯の変更を検討します。変更が決まった条件で再計算し、元の依頼と変更後を区別して保存します。これは実績や削減効果を示す事例ではありません。

現行の配車と確認時間まで含めて比べる

同じ配送依頼・車両・条件を使い、現在の配車方法と候補作成の方法を比べます。通常日だけでなく、件数が多い日、時間帯が重なる日、住所不明、利用できる車両が減る場合も用意します。

評価するのは、必須条件の違反、未割当、移動時間・距離、待機時間、計算時間、担当者の修正・確認時間です。短いルートでも、現場で修正が増えるなら成功とはいえません。入力に含めなかった現場条件が見つかった場合は、条件一覧へ戻して改善します。

本導入の判断には、試行前に合意した許容範囲、例外時の手作業、確定後に再計算する条件を使います。小規模な検証で良かった結果を、全地域や繁忙期にもそのまま当てはめないようにします。

費用と自動化に向かない条件を整理する

費用には、住所・車両情報の整理、地図や経路データの利用、制約の実装、確認画面、既存システムとの接続、条件の更新作業が含まれます。探索に使える時間や候補の品質によっても構成は変わります。AIを使う部分と通常の計算・ルールで対応する部分を分けて見積もります。

AiPHAのPoCは開発・検証20万円〜で、金額は対象業務と開発範囲に応じて見積もります。AIサービスの利用料など別途必要な費用は事前に案内します。一定の距離削減や、最適な配車を保証するものではありません。

配送先が少なく固定ルートで十分な場合、時間帯や荷物の条件が記録されていない場合、例外を判断する担当者を置けない場合は、まず情報整理や既存ツールの運用改善を優先します。

相談時には、対象拠点、配送一覧の項目、車両条件、組み直しが発生する場面を整理すると、試す範囲を決めやすくなります。顧客住所などを共有する前に、必要な範囲と方法を確認してください。配送ルート作成のPoCについて相談する