作業手順書が更新されるたびに、旧版と新版を開いて変更箇所を探す。ページが増えたり表が移動したりすると、どの手順が変わったのか確かめるだけで時間がかかります。AIを使うなら、差分を説明する文章と、その根拠となる原文を一緒に確認できる設計が必要です。
最初のPoCは、一種類の文書に対象を絞れます。旧版と新版を照合し、変更候補を一覧に出す。担当者が元の箇所を開いて確定する。この流れで、見落としと確認時間を測ります。AIが変更なしと答えた文書も検査対象に含めます。
既存の文書比較で足りるかを先に確認する
文字の追加や削除が分かれば仕事が終わるなら、利用中の文書ソフトの比較機能を試します。たとえばWindows版Wordの比較機能は、二つの文書の変更箇所を別の文書に表示できます。Microsoftの公式説明で対象バージョンと操作を確認できます。
個別開発を検討するのは、差分を見つけた後の作業まで繰り返し発生している場合です。文書の種類ごとに確認項目を分けたい、変更理由の下書きを作りたい、担当部署へ確認を回したい、といった要望を挙げます。単に要約文がほしいだけなら、既存機能と人の確認で足りるか比較してください。
PoCでは通常の文字比較も評価の基準にします。AIを加えた方が速いか、説明を直す時間が増えないかを確かめるためです。
旧版と新版を取り違えないための準備
依頼前に、正しい組み合わせの旧版・新版と、人が作った変更記録を用意します。ファイル名だけに頼らず、文書番号、版番号、適用日を記録します。承認前の原稿と現行版を比べるのか、承認済みの二つの版を比べるのかも固定してください。
| 準備するもの | 確認したい内容 |
|---|---|
| 旧版と新版の組 | 同じ文書の改訂か、対象の版が合っているか |
| 変更記録 | 必ず拾いたい変更、表現だけの修正、削除箇所 |
| 文書の形式 | Word、文字入りPDF、スキャン画像のどれを扱うか |
| 出力の見本 | 原文への参照、説明文、確認結果をどこへ残すか |
| 承認する担当者 | 変更内容と業務への影響を判断できる人は誰か |
スキャン画像を文字にする処理が必要なら、文字認識の誤りも検証します。読み取れない表や図があった文書は、処理済みの件数へ混ぜず、確認待ちとして出します。入力できたページ数と、元ファイルのページ数を照合する方法も決めておきます。
差分の説明から元の箇所へ戻れるようにする
結果には旧版の該当箇所、新版の該当箇所、変更の説明を並べます。文書番号と版を付け、ページ番号や見出しから元の資料へ戻れるようにします。ページ構成が変わる場合は、旧版と新版それぞれの参照先を残します。
変更候補は、追加、削除、内容変更、移動などに分けます。移動しただけの文章を削除と追加として大量に出すと、担当者が読む量が増えます。同じ表が別の章へ移った場合や、一つの項目が二つに分かれた場合も試してください。
仮例:点検頻度の変更と表の移動が重なった場合
ここでは架空の作業手順書を考えます。新版では点検表が別の章へ移り、確認頻度が週一回から作業開始前へ変わったとします。表の移動だけを説明すると、担当者は頻度の変更を見落とします。
検証用の正解には、表の移動と頻度の変更を別々に記録します。AIの説明には旧版と新版の該当セルを添え、実際に手順を変える必要があるかは担当者が決めます。変更理由が原文にないときは、AIに理由を推測して埋めさせません。
変更なしと判定した箇所も検証する
出力された差分だけを読む検証では、出力されなかった変更を確認できません。人が変更箇所を確定した文書を使い、拾えた変更と見落とした変更を比べます。見た目が似ている文書や、変更がない組み合わせも含めます。
合格条件は、変更の種類と業務への影響に応じて決めます。作業条件、数値、否定表現などの変更を見落とした件数は、書式だけの誤検出と分けて数えます。確認に使った文書の形式や件数も残し、その範囲を超えた精度まで保証しないようにします。
調整に使う文書と、最後に評価する文書を分けてください。調整済みの例だけで良い結果が出ても、別の書式や改訂には対応できるか分かりません。
確認と修正を終えるまでの時間を測る
ファイルを選ぶ時間、AIの処理時間、原文との照合、説明の修正を合計します。比較ソフトだけで進めた場合も同じ範囲で測ります。
短縮時間のほかに、重要な変更の見落とし、不要な差分の件数、原文参照の誤り、確認待ちになった文書を記録します。担当者が差分一覧を見ても元の全文を読み直す必要があるなら、出力形式や対象範囲を見直します。
開発費用は対象形式と確認画面まで含めて比べる
見積もりでは、対象文書の形式、文字認識の有無、表や図の扱いを伝えます。旧版・新版の保管場所、確認画面、承認結果の保存、通知先も開発範囲を変えます。最初は一つの書式と確認画面に絞り、難しい形式を後に回す進め方もあります。
AiPHAのPoC開発サービスは、開発・検証20万円〜、10日でAIエージェントを納品する案内です。金額は対象業務と開発範囲に応じた見積もりです。図表を含む比較や社内システムへの接続を、この金額と期間ですべて対応できると決めず、実資料で確認してください。AIサービス利用料などの別途費用も確認します。
稼働後は、文書の書式変更やAIの更新に合わせて再評価する担当者を決めます。承認済みの結果と、比較に使った版を残す運用も必要です。継続保守や追加開発の範囲と費用は別途確認してください。
AIによる差分確認を急がない方がよい条件
比較する版を決められない、正しい変更内容を判断する担当者がいない、読めない画像が多い場合は、文書管理や入力資料の整備から始めます。改訂が少なく、既存の比較機能で負担なく確認できるなら、専用開発を急ぐ必要はありません。
AIの説明だけで手順の変更を承認する運用も、最初のPoCの対象にしない方が進めやすくなります。まずは担当者の確認を助ける範囲で、見落としと時間を測ってください。
AiPHAの30分の無料相談では、旧版・新版の例と、比較後に困っている作業をもとに検証範囲を検討できます。機密資料の共有は、使用するデータと共有方法を確認してから進めます。
