メールで届いた見積書や納品書を開き、取引先や案件ごとのフォルダーへ保存する。この作業を支援するPoCでは、添付書類の種類と保存先の候補を示し、担当者が確認して保存するところまで試します。メールをどの部署へ回すかという振り分けとは分け、受け取ったファイルを後から探せる状態にする作業が対象です。

初回は一つの受信窓口と、決まった書類の種類に絞ります。メールや添付原本を削除せず、分類できない書類を確認待ちへ戻す設計にします。保存先が決まったことと、書類の内容が承認されたことも別の状態として扱います。

書類の分類と保存先のルールを先に決める

同じ取引先から届いても、見積書、注文請書、納品書では保存する場所が異なることがあります。送信元や件名だけで判断せず、書類の種類、案件番号、対象期間など、保存先を決める情報を整理します。

決める項目 先に確認すること 確認待ちにする例
書類の種類 分類名と、それぞれの判定例 複数種類が一つのPDFに含まれる
案件・取引先 正式な識別番号と照合先 同名の取引先や案件がある
保存先 既存フォルダーと利用権限 該当する保存先がない
ファイル名 日付、番号、版の付け方 書類番号や発行日が読めない
処理状態 保存済み、保留、訂正の区別 既存ファイルと内容が異なる

AIが新しい保存先を自由に作る範囲にはしません。社内で用意した保存先の一覧から候補を選び、対応する場所がなければ保留します。顧客別フォルダーなどでは、別の相手の資料が混ざらないことを優先します。

分類結果と保存の操作を分ける

MicrosoftのDocument Intelligenceには、文書の種類を識別するカスタム分類モデルがあります。ただし、分類できることは、自社の案件や保存先を正しく選べることの保証ではありません。対象形式と言語の対応を確認し、実際の書類で検証します。

AIは書類の種類や識別情報の候補を返し、その後に決めたルールで保存先を照合します。書類に書かれた文言を、保存先の変更や外部送信の指示として実行しない構成にします。初期検証はファイルを書き込まず、候補一覧の作成から始められます。

保存を試す段階では、必要な範囲だけの権限を使い、原本を残したまま検証用の保存先へコピーします。元メール、添付ファイル、分類結果、保存先、確認者を対応付け、結果だけを見ても処理を追えるようにします。

検証に使う資料と正解を用意する

通常の書類だけでなく、訂正版、再送、番号のない書類、画像だけの書類も集めます。暗号化された添付や、対応していない形式は無理に処理せず、担当者へ返す対象として決めます。既存のメール・ファイルの安全確認手順は維持します。

最初に準備するもの

  • 試行対象のメールと添付書類の組み合わせ
  • 書類の分類名と、担当者が確定した分類結果
  • 案件・取引先の照合一覧と保存先の対応表
  • ファイル名、訂正版、重複受領の扱い
  • 保存先の権限、保留理由、確認担当者

外部サービスへ入力してよい資料かを確認し、不要な個人情報などは除きます。まず架空の会社名や案件番号に置き換えた書類で動作を試す方法もあります。調整に使った書類とは別の資料で、分類と保存先の正しさを評価します。

仮例:同じ納品書が再送された場合

以下は処理設計の仮例で、導入実績ではありません。一通目のメールに添付された納品書を保存した後、別の件名で同じファイルが再送されたとします。メールが違うことだけを理由に、新しい書類として二重に登録しない設計が必要です。

ファイルの内容が同じかを確認する識別値に加え、元メールとの関係も記録します。同じ書類の受領履歴は残し、保存済みの原本へ結び付けます。一方、ファイル名が同じでも数量が修正されていれば、同一ファイルとして処理を終えず、訂正版の候補へ回します。

書類番号が同じでも、取引先や発行日が違う場合があります。番号だけで古いファイルを上書きせず、担当者が関係を確定できるようにします。保存処理が途中で失敗した場合も、実際の保存先を確認してから再処理し、結果不明のまま同じコピーを繰り返しません。

成功条件は誤保存と保留の扱いで決める

分類の正解率だけでは運用の良し悪しを判断できません。別案件への誤保存、保存漏れ、二重保存、必要な書類を保留した件数を分けて確認します。誤保存の影響が大きい分類は、他の分類とまとめて平均しないようにします。

検証前に、どの条件なら確認者へ戻すかを決めます。AIが返す確信度の値だけで保存可否を決めず、識別情報が一致するか、保存先が一つに決まるかも確認します。自動保存へ進める範囲は、検証結果を見て別に合意します。

  • 書類の原本と保存結果を対応付けて確認できる
  • 保存先が複数ある場合に、一つへ勝手に確定しない
  • 訂正版で既存の原本を失わない
  • 保存の失敗や再処理で、同じファイルを増やさない
  • 分類確認、修正、再処理を含む総時間が短くなる

保存できた件数だけでなく、保留のまま残っている件数も確認します。確認待ちが増え続けるなら、分類基準、資料、担当者の分担を見直します。

開発費と運用担当を確認する

AiPHAのPoC開発は1業務を対象に20万円〜、10日でAIエージェントを納品する案内です。金額は対象業務と開発範囲に応じて見積もります。対象の受信窓口、書類形式、分類数、保存先サービス、権限や確認画面の範囲を相談時に確認します。

AIサービスの利用料などは別途必要な費用として事前に案内します。継続保守や追加開発も、範囲と費用を別に確認してください。月間の添付数・ページ数・再処理回数と、担当者の確認時間を運用費に含めます。

分類名や保存先を増やす人、取引先の書式変更を連絡する人、保留書類を処理する人を決めます。保存期間や削除は既存の社内方針に合わせ、PoCが原本を整理する名目で勝手に削除しないようにします。

AIによる仕分けを急がない方がよい条件

送信元、件名、固定のファイル名で確実に分類できるなら、メールのルールや既存サービスの機能で対応できるか比較します。受領件数が少ない場合も、開発と確認の負担に見合うかを確かめます。

保存先や書類の分類基準が社内で決まっていないなら、まず担当者と基準をそろえます。結果を確認する人がいない場合は、自動保存まで広げず、候補を一覧にする範囲から検討できます。

月間の添付件数、書類の種類、保存先、困っている重複や訂正の例をお知らせください。メール添付書類の仕分けについて無料相談する