申請書を開き、空欄を探し、添付資料を確認してから申請者に連絡する。この受付作業が重い場合は、AIで不足候補を出し、担当者が確かめる範囲から試せます。申請内容の承認は、従来の承認者が行います。
開発前に必要なのは、申請書の様式だけではありません。どの申請で何が必須か、例外を誰に聞くか、どの状態で差し戻すかを決めます。対象を一種類に絞り、見落としと余計な指摘の両方を測るPoCの進め方を紹介します。
社内申請のどこをAIで確認できるか
最初の対象は、備品購入申請など、必要項目を社内で説明できる申請に絞ります。紙やPDFから記載内容を読み取り、申請区分ごとの確認表に照らして不足候補を出す構成です。自由記述の理由欄では、必要な説明が含まれるかを確認候補として提示します。
MicrosoftのDocument Intelligenceには、文書の文字、表、選択マークを抽出する機能があります。ただし、読み取れた文字だけで社内の申請条件を満たすとは判断できません。読取機能と、自社の条件に沿った確認処理を分けて検証します。
申請者がフォームに入力し、必須欄や添付の有無を既存機能で検査できるなら、まずその設定を使います。AIの開発は、様式の異なるPDFや文章の確認が残る場合に検討します。
必須項目と条件付きの項目はどう決めるか
担当者が現在使っている確認手順を、申請区分と適用条件ごとに書き出します。以下は備品購入申請を想定した仮例です。実際の社内規程や導入実績を示すものではありません。
| 確認対象 | 条件の仮例 | 不明な場合の扱い |
|---|---|---|
| 利用目的 | すべての申請で記載 | 空欄候補を担当者へ提示 |
| 見積書の添付 | 指定した申請区分だけ必須 | 区分が読めなければ保留 |
| 納入先 | 本社以外への配送時に必要 | 配送先の選択欄と照合 |
| 追加説明 | 標準品以外を希望する場合 | 理由欄を原文付きで提示 |
空欄と対象外を分ける
空欄、読取不能、対象外、記載ありを別の状態で残します。対象外の欄まで記入漏れとすると、確認担当者が誤った指摘を消す作業に追われます。複数の区分にチェックがある場合も、AIが一つを選ばず保留にします。
条件には根拠となる規程の版と適用開始日を付けます。旧様式で受け付ける期間があるなら、旧版用の条件も明示します。例外を担当者の記憶だけに頼っている段階では、先に例外一覧を作ります。
PoC前に用意する申請書と確認結果
通常の申請書に加えて、過去に差し戻したもの、例外として受け付けたもの、文字が読みにくいものを集めます。添付資料も申請単位で対応付け、ファイルが存在するだけで提出済みとしないようにします。別案件の見積書や破損したファイルを、検証用の例に含めます。
確認担当者が各資料に正しい状態と理由を記録し、それを検証の基準にします。担当者間で判断が割れる項目は、ルールを決めるまで自動判定の対象から外します。調整に使った資料とは別に、最終確認用の資料を確保します。
外部サービスへ渡せる情報、閲覧できる担当者、保存期間を先に確認します。氏名などを置き換えるときは、申請と添付の対応関係が崩れないようにします。実際の資料を使えない段階では仮データで流れを確認し、実資料の精度は未検証として扱います。
不足候補から差し戻しまでの流れ
確認画面には、申請番号、適用した条件、指摘箇所の原文、添付一覧を並べます。担当者が原本を開き、指摘が正しいかを確認してから、差し戻し文面を確定します。
送信と承認は担当者が行う
PoCでは差し戻し理由の下書きまでを対象にし、申請者への自動送信や申請システムの状態更新は含めない構成から始めます。AIが利用目的を勝手に補ったり、申請者の代わりに添付資料を作ったりしない仕様にします。
再提出時は前回の申請と版を結び付け、解消した指摘と残った指摘を分けます。同じ申請を再処理しても、連絡や登録が重複しないかを確かめます。条件を変更した後は、過去の例外も含めて再検証します。
成功条件は見落としと確認時間で測る
不足のある申請を見落とした件数と、問題のない申請に余計な指摘をした件数を別々に記録します。申請件数だけでなく、確認対象の項目数も残します。全体の正答率が高くても、特定の添付条件を毎回見落としていないか確認できます。
時間は読取処理だけで測りません。資料の準備、原本照合、誤指摘の修正、差し戻し文面の確定までを含め、従来の受付と比較します。試験開始前に、見落としを許容しない項目と、保留に回してよい項目を担当者が決めます。
申請条件が頻繁に変わり更新担当者がいない場合や、原本を確認する時間を取れない場合は、運用を始める条件が整っていません。件数が少なく開発費を回収しにくい場合は、確認表や申請フォームの改善を先に試します。
開発費と運用担当はどう考えるか
AiPHAのPoC開発は、1業務を対象に20万円〜、10日でAIエージェントを納品するサービスです。金額は対象業務と開発範囲に応じて見積もります。申請書の種類、添付との照合方法、確認画面、既存システムとの連携範囲を相談時に確認します。
AIサービスの利用料など別途必要な費用は事前に案内します。運用開始後の条件改定、様式追加、保守や追加開発についても、見積時に対応範囲と費用を確認してください。申請システム全体の改修を、最初のPoCに含める前提にはしません。
社内では、条件を更新する人と日々の不足候補を確認する人を決めます。開発側には、読取失敗の調査、変更時の検証方法、手作業へ戻す手順を確認します。動作確認用の資料と検証結果も、成果物に含めるか合意します。
申請書と差し戻し理由があれば相談できる
相談時には、対象の申請書、必要項目の一覧、最近の差し戻し理由を共有できる範囲で用意してください。月の受付件数と担当者の確認時間も分かると、どこを試すかを絞れます。資料の内容を共有する前に、情報の扱いを確認できます。
