急な注文や設備の停止が入るたびに、Excelの生産計画を組み直している。担当者しか分からない条件があり、引き継ぐ人も困っている。こうした業務では、一つの設備群を対象に、実行できる計画案を作って担当者が確認するPoCから始められます。
最初に決めるのは、対象の製品と計画期間、守る条件です。生成AIによる文章の読み取りと、設備や時刻の制約を確かめる処理を組み合わせ、現場で実行できるかを検証します。
最初は一つの設備群と限られた注文を対象にする
既存の計画表から注文と工程を読み取り、担当者が修正できる計画案を出すところまでを試します。
工場全体を一度に扱うと、材料の到着、外注工程、検査待ちなどの条件が増えます。PoCでは対象を絞り、候補の作成から確認までにかかる時間を測ります。設備への指示送信や、顧客への納期回答は対象に含めません。
GoogleのOR-Tools公式資料では、作業の順番と、同じ機械で同時に作業できない条件を使う計画問題を説明しています。入力した条件に合う開始時刻を計算する方法です。(出典:Google OR-Tools)
自由記述の注文メモから条件を取り出す部分には、生成AIの利用を検討できます。ただし、読み取った納期や数量は元の注文と照合します。AIが推測した値を、そのまま計画の前提にしない手順にします。
注文情報と設備の予定を同じ時点でそろえる
注文、工程、設備の稼働予定について、どの時点のデータで計画したかを記録します。
古い注文一覧と更新後の設備予定を混ぜると、比較の前提がずれます。データの管理者、更新時刻、変更の反映方法を確認し、不足した値は担当者に戻す扱いにします。
| 用意する情報 | 確認する内容 |
|---|---|
| 注文と納期 | 注文番号、数量、納期、変更履歴、取消し |
| 工程の順番 | 前工程が終わる条件、検査待ち、外注への引き渡し |
| 処理時間 | 製品と設備の組合せ、数量による違い、見積りか実測か |
| 設備の予定 | 稼働時間、保全停止、使用できない時間帯 |
| 作成済みの計画 | 着手済みの作業、動かせない予定、変更理由 |
製品の切替えに清掃や治具交換が必要なら、その時間も扱います。作業者の資格や担当体制が計画に影響する業務では、必要な条件を現場で確認してください。設備だけの条件で作った計画を、人員も確保済みと扱わないことが前提です。
守る条件と改善したい項目を分ける
絶対に守る条件を先に定め、その条件の中で納期遅れや段取り回数をどう減らすかを決めます。
例えば、前工程より先に次の工程を始めない、保全中の設備を使わない、といった条件です。一方、残業を減らすことや、製品の切替えを少なくすることは、どちらを優先するか判断が必要です。
仮の例として、注文Aは設備1で加工してから設備2で検査し、注文Bも同じ設備1を使うとします。AとBを同時に設備1へ割り当てた計画は採用できません。Aの納期を優先するなら、Bの予定がどれだけ後ろに動くかも担当者へ示します。
納期を必ず守る条件にするか、遅れを表示して調整を相談する条件にするかも決めます。すべての注文を予定どおりに処理できないときに、システムが無断で条件を緩めない設計にしてください。
計画案が出ない理由を区別する
計画案が見つからないときは、条件の矛盾と、計算を打ち切った状態を区別します。
OR-ToolsのCP-SATには、実行可能な解が得られた状態、最適性まで確認できた状態、解が存在しないと証明された状態などがあります。時間制限等で結論が出なかった状態も別です。(出典:Google CP-SAT)
そのため画面には、計画案と計算の状態を一緒に表示する提案にします。制限時間内に案が出なかっただけで、生産不可能と顧客へ回答してはいけません。逆に案が出ても、入力していない現場条件まで満たす保証はありません。
担当者が条件を変えて再計算する場合は、変更前後を残します。納期を延ばしたのか、別の設備を使ったのかを後で確認できれば、計画案を採用した理由も追えます。
現在の計画と同じ注文条件で比べる
PoCでは、計画作成の速さに加え、制約違反と担当者の修正負担を評価します。
過去の注文を使って、従来の計画と候補を比較します。その時点で分かっていなかった情報を候補側だけに与えず、同じ入力と同じ制約で比べてください。
比較で記録する項目
- 必須条件を破った割当てがないか。
- 納期遅れ、段取り回数、計画の変更量はどう変わったか。
- 担当者による修正と確認を含め、何分かかったか。
- 注文追加や設備停止の後に、採用できる案を作り直せたか。
- 案が出ないときに、理由と相談先を判断できたか。
合格条件は対象業務に合わせて、検証前に合意します。平均時間だけで判断せず、繁忙日、欠品、設備停止など、計画が崩れる場面も試します。削減率や精度を先に約束することはできません。
再計画では着手済みの作業を固定する
実行中の作業を動かせるかは現場が決め、システムに変更可能な予定だけを渡します。
再計算のたびにすべての順番が変わると、担当者への連絡や準備のやり直しが増えます。PoCでは、固定する期間や作業と、変更を検討できる予定を明示します。
運用は、入力確認、候補作成、変更箇所の確認、責任者の確定、現場への連絡という順番を提案します。途中で注文情報が更新された場合は、古い候補の確定を止める仕組みも検討してください。
計算できないときに戻る既存の計画表と担当者も決めます。設備の安全制御や緊急停止など、現在の保安手順は置き換えません。
開発費は条件の数と既存システムへの連携で変わる
見積りでは、計画を作る機能に加え、データ整備と変更後の運用にかかる費用を確認します。
Excelの読込みだけで試す場合と、受注・在庫・設備のシステムを常時連携する場合では、開発範囲が異なります。計算を繰り返す回数、実行環境、条件追加への対応、保守の担当も見積りに含めて確認してください。
AiPHAの料金と個別見積り
AiPHAのPoC開発サービスは20万円から、対象業務と開発範囲に応じた見積りです。AIサービス利用料などの別途費用は事前に案内し、継続保守や追加開発の範囲と費用は別途相談します。(出典:AiPHA PoC開発サービス)
サービスページには10日納品の案内があります。生産計画の対象設備や連携、データ準備、現場の評価日程を含めた実施条件は、相談時に確認してください。工場全体の連携や長期間の実地評価まで、一律に含む約束ではありません。
自動化より先に条件の確認が必要な場合
処理時間や工程順序が決まっていない場合は、現場の作業条件を確認するところから始めます。
設備の予定が更新されていない、担当者ごとに納期の優先順位が異なる、例外の理由を説明できない状態では、計画案の良し悪しを判定できません。まず、現在の計画を変更した理由を記録する方法が考えられます。
注文が少なく、既存のExcelで短時間に修正できる業務では、個別開発の効果が費用に見合うかを先に比べてください。市販の生産管理・スケジューラーで必要条件を扱える場合は、その設定変更も候補です。
生産計画の自動化を相談する際は、現在の計画表と、直近で組み直した理由を用意してください。対象を絞った検証で、どの条件をシステムに任せ、どの判断を現場に残すかを決められます。PoC開発について相談する
