「先月、どの商品が伸びたか」と聞けば、売上データを集計して答えてほしい。こうした相談では、質問をSQLなどの集計処理へ変換するPoCが候補になります。ただし、数字が返ってくることだけでは合格にできません。

まず一つの集計表と少数の質問に絞り、条件と計算結果を担当者が確かめるところまで試します。需要予測や将来の売上予測は対象に含めず、登録済みデータを正しく集計できるかを確認します。

最初に売上の定義と質問の範囲をそろえる

同じ「売上」でも、受注額、出荷額、請求額では数字が違います。税込・税抜、返品や取消の控除、締め日、通貨も集計条件です。質問の文面が短くても、暗黙の条件をAIが勝手に決める構成にはしません。

既存の定例報告で使う集計式を一つ選び、担当者と定義を確認します。そのうえで、月別・商品別など、今回扱う切り口を決めます。毎回同じ表を見るだけなら、既存のBIやExcelの集計機能で足りるかも先に比べます。

相談前に準備する資料

  • 対象の表と列の説明。顧客名など不要な列は分ける
  • 売上日、計上日、返品日など、日付の使い分け
  • 金額、数量、単位、税、返品・取消の集計規則
  • 担当者が正しいと確認した質問と集計結果
  • 閲覧できる部署・担当範囲と、更新される頻度

表同士を結び付ける場合は、商品コードなどの対応関係も確認します。同じ商品コードが複数行に現れる表を安易に結合すると、売上を二重に数えることがあります。

質問から集計条件を確認する画面を作る

最初の出力には、答えの金額だけでなく、対象期間、指標、絞り込み条件、除外した行、データの更新時点を示します。情報が足りない質問には、条件を選び直してもらいます。

「最近の売上」なら期間、「一番よい商品」なら売上額か数量か利益かを確認します。対象の表に利益がなければ、売上額を利益に見立てて答えません。資料にない指標への質問は、対応できない理由を返す試験も必要です。

仮例:返品の扱いで数字が変わる

以下は説明用の仮例です。4月の売上を尋ねるとき、4月に受け付けた返品を4月から引く方法と、元の売上月へ戻して調整する方法では結果が変わります。

PoCでは自社が採用する規則を明示し、同じ質問をした担当者がその条件を確認できるようにします。どちらが正しいかをAIに決めさせるのではなく、業務で承認した定義と計算結果が一致するかを確かめます。

AIが作ったSQLをそのまま本番へ流さない

SQLはデータを検索・集計するための記述です。AIがSQLの候補を出しても、参照先や条件が妥当かを実行前に確認します。初期のPoCでは必要な列だけを取り出した検証用コピーや、参照範囲を限定したビューを使う方法があります。

閲覧専用の接続、実行できる処理の制限、取得件数や実行時間の上限を組み合わせます。SQLの先頭がSELECTかどうかを見るだけで、利用者の閲覧範囲や処理負荷まで確認したことにはなりません。

PostgreSQLの公式資料には、READ ONLYのトランザクションで通常テーブルへのINSERT・UPDATE・DELETEなどを禁止する仕組みが説明されています。これは製品固有の機能例であり、接続先の権限設計やSQL検証を代わりに済ませるものではありません。採用するデータベースと版の仕様を確認します。

また、閲覧専用でも見せてはいけない情報を取得する可能性は残ります。質問者が見られる行や列を接続側で制限し、担当外のデータを尋ねたときに結果を返さないかを検証します。

成功条件はSQLの形より数字と根拠で決める

同じ集計結果を得るSQLは一通りとは限りません。評価では、担当者が確認した正解と結果を比べ、期間・条件・集計単位が合っているかを調べます。AIが説明した条件と、実際に実行した条件の一致も確認します。

通常の質問に加え、該当データがない、金額が空欄、商品名に表記ゆれがある、結合で行が増える、といった例を用意します。ゼロと未取得・不明を区別し、実行エラーを「売上なし」と表示しないことも合格条件に入れます。

調整に使った質問とは別の評価用質問を残します。正答率だけでなく、誤集計の件数、不要な条件確認の回数、確認・修正を含む所要時間を測り、導入前に許容する水準を合意します。

開発費と運用費を分けて見積もる

見積りには、表の整理、接続、指標定義、質問の解釈、SQL確認、結果画面、権限・負荷の検証を分けて記載すると比較しやすくなります。対象の表や集計の種類が増えるほど、定義と試験の範囲も増えます。

AiPHAのPoC開発・検証は20万円からで、対象業務と開発範囲に応じた見積りです。AIサービス利用料などの別途費用は事前に案内します。LPの「10日で納品」という表記についても、資料準備や接続条件を含む今回の進め方は相談時に確認します。継続保守や追加開発は別途相談です。

運用では、AI利用料とデータベースの処理費に加え、列名や集計定義の変更、権限の見直し、誤集計の調査にかかる時間を見込みます。売上の定義が部署ごとに違う、表の管理者がいない、正解を確認できない段階では、先にデータと責任者を整理する必要があります。

相談時は、よく聞かれる質問を数件と、現在使っている集計表の構成を用意してください。実データを送る前に、取り扱う情報と共有範囲を確認できます。

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