複数の仕入先から届いた見積書を、社内の比較表へ転記する。品名や単位がそろわず、送料や納期は備考欄に書かれている。この作業のPoCでは、見積書から比較項目を取り出し、条件の違いと確認が必要な箇所を一覧にするところまで試します。
最初から最安の仕入先を自動で決める範囲にはしません。価格以外の条件を含めて購買担当者が判断できる比較表を作り、取引先への照会や発注は既存の承認手順で行います。対象は同じ依頼仕様で集めた見積書に絞ります。
比較する前に依頼仕様と単位をそろえる
同じ品名でも、材質、寸法、梱包数量が違えば同じ商品とは扱えません。仕入先の名称を社内の商品コードへ対応付ける場合も、確定した対応と候補を区別します。仕様が合わない明細を価格だけで並べない設計が必要です。
| 比較項目 | そろえる条件 | 確認に回す例 |
|---|---|---|
| 品名・仕様 | 依頼仕様、型番、代替品の可否 | 型番が異なる、仕様の記載がない |
| 数量・単位 | 個、箱、セットと内訳 | 一箱の入り数が不明 |
| 単価・金額 | 価格の適用数量、対象範囲 | 数量によって単価が変わる |
| 追加費用 | 送料、梱包費、初期費用 | 別途とだけ書かれている |
| 納期・有効期限 | 起算日、納品先、見積の期限 | 発注後の納期か不明 |
依頼時に伝えた条件と、見積書に記載された条件を別の列に残します。AIが依頼条件を見積書にも書かれているものとして補わないよう、各値に出典のページや記載箇所を付けます。
読み取った値と、比較のための変換を分ける
MicrosoftのDocument Intelligenceのレイアウトモデルは、文書から文字、表、文書構造などを抽出する機能として案内されています。このような読取機能を使っても、見積条件が同等かどうかは別に検証する必要があります。
原文の「1箱」と比較用の「10個」を両方保存し、単位変換に使った入り数も確認できるようにします。換算する根拠がない場合は空欄のまま保留し、別の見積書に書かれた条件を流用しません。金額の計算は決めた式で再現できるようにします。
見積書の表だけでなく、脚注や別紙に条件が書かれることもあります。どこまで読み取ったかを表示し、添付された別紙が欠けている場合は、条件の確認が終わっていないと分かる状態にします。
検証用の資料と比較表を用意する
対象の品目群と見積書の形式を絞り、担当者が比較した過去資料を集めます。通常の例に加えて、代替品、数量別価格、改訂版、追加費用が未確定の例も含めます。取引先の情報を外部サービスで扱えるか確認し、不要な連絡先などは検証資料から除きます。
最初に用意するもの
- 依頼した仕様と数量が分かる資料
- 同じ依頼に対して受領した見積書と別紙
- 担当者が確定した品目の対応関係と比較結果
- 単位換算、追加費用、未記載項目の扱い
- 比較表の書式と、確認事項を返す担当者
比較表には、元の値、換算後の値、差異、根拠、確認状態を設けます。調整に使った見積書とは別の資料で最終評価し、特定の書式だけに合った処理になっていないか確認します。
仮例:一箱と一個の単価が混在する場合
以下は設計を説明する仮例で、導入実績ではありません。必要数量は100個。A社は10個入り一箱1,200円、B社は一個115円と記載されているとします。品目の仕様が同じと確認できれば、商品代はA社12,000円、B社11,500円と計算できます。
ただし、B社の送料が「別途」なら、総額が安いとはまだ言えません。比較表では商品代と送料の状態を分け、B社の送料は未確定と表示します。納期や最小発注数量が異なる場合も、その条件を確認してから採否を判断します。
A社の入り数が書かれていなければ、一箱を10個と推測して換算しません。同じ会社の過去の見積書が残っていても、今回の入り数を確認する必要があるためです。見積書の改訂版を受け取った際は、旧版を上書きせず、どの版で比較したかを記録します。
成功条件は条件の見落としと確認負担で決める
転記したセル数だけで評価すると、重要な条件を読み落としていても成功に見えてしまいます。担当者の正解と比べ、明細の対応誤り、単位の誤換算、追加費用や期限の見落としを分けて数えます。
検証前に、必ず人へ戻す条件と合格基準を決めます。確認時間にはAIの処理待ちだけでなく、原文の照合、修正、比較表の仕上げまでを含めます。実測する前に削減率を決めて成果として掲載しません。
- 比較表の数値と条件を原文へ戻って確認できる
- 単位や仕様が不明な明細を、確定済みにしない
- 未確定の費用をゼロとして総額へ足さない
- 改訂版を受け取った際に、比較対象の版が分かる
- 条件確認と修正を含む総時間が、手作業より短い
金額が一致した行も評価対象にします。誤った明細を組み合わせた結果、偶然同じ金額になる場合を見逃さないためです。
開発費と継続運用の範囲を確認する
AiPHAのPoC開発は1業務を対象に20万円〜、10日でAIエージェントを納品する案内です。金額は対象業務と開発範囲に応じて見積もります。見積書の形式数、比較項目、社内マスターとの照合、出力する表の形式を相談時に確認します。
AIサービスの利用料などは別途必要な費用として事前に案内します。継続保守や追加開発の範囲と費用も別に確認してください。月間の見積書枚数やページ数、再処理の回数、担当者の確認時間を含めて運用費を見積もります。
初回は比較表の出力までに絞り、仕入先への連絡や発注システムへの登録は別の範囲にできます。単位換算のルールを直す人、書式変更を連絡する人、原本と比較結果の保存先も決めます。
個別開発が向かない条件を先に確認する
仕入先が共通の表形式で見積もりを出せるなら、入力様式の統一や表計算の処理で対応できるか比較します。件数が少なく、確認の負担も小さい場合は、専用開発の費用に見合うかを確認する必要があります。
依頼仕様が決まらず、担当者も同等品か判断できない状態では、比較する基準を先に整えます。自動で仕入先を選んで発注することが目的なら、今回の比較表作成とは別に、判断権限と発注の条件を設計しなければなりません。
見積書の形式、月間の比較件数、そろわない項目、現在の比較表をお知らせください。仕入先の見積書比較について無料相談する
