見積書や注文書の処理、属人化した技術者の判断の引き継ぎなど、毎日くり返す定型業務がある。そこに、自分や少人数のメンバーの時間が取られている。専任の担当者がいない自社が、実際にどの業務からAIを使い始められるのか、具体的なイメージがまだ持てずにいる。

専任の担当者がいない会社でも、AI活用は始められる。対象になるのは、定型書類の処理や属人化した判断の引き継ぎといった、毎日・毎週くり返す業務だ。当社は一つの業務に絞って20万円〜・10日で検証するPoC開発を提供している。専任担当者を置かない体制のまま、運用まで進められる。

大手企業の事例だけでは、自社の社内AI活用がイメージできない理由

検索で見つかる事例の多くは、情報システム部門を持つ企業が主体です。そのため、専任担当者がいない30〜100名規模の会社には、そのまま当てはまりません。大企業の事例は、情報システム部門や専任のAI担当者が数人がかりで進める前提で書かれていることが多い。体制も予算のかけ方も違う。

日本政策金融公庫の調査では、AIを導入している企業はまだ少数派だ(出典:japan-ai.co.jp)。

  • 2023年度までにAIを導入済みの企業:5.4%
  • 2024年度に新規導入・大幅改修を行った企業:9.2%

導入している企業自体が少ないなかで、検索結果に目立つのは体制が整った大企業の事例になりやすい。

以下では、専任担当者がいない会社でもそのまま参考にできる業務の粒度に絞って事例を紹介する。見積書処理や属人化した判断の引き継ぎなどが対象だ。

大企業事例との違い
  • 情報システム部門が要件を主導
  • 複数部署をまたぐ大規模な体制
  • 中小企業とは体制も予算も別条件
  • AI導入企業はまだ少数派

専任担当者がいない会社の、社内AI活用事例を業務別に見る

専任のAI担当者がいない会社でも、くり返し発生する業務からAIを使い始められます。対象になるのは、見積書・注文書の処理や属人化した判断の引き継ぎなどだ。これらは手順が説明でき、過去の記録が残っているため、AIに下書きや照合を任せやすい。ここでは、次の3つの業務を順に見ていく。

  • 見積書・注文書・請求書など、定型書類の処理
  • 会議の議事録作成と、社内の問い合わせ対応
  • 属人化した技術者の判断を、AIに引き継ぐ使い方

下の表の「確認する指標」欄には、数字の実績ではなく、検証の段階で確認する項目を記載している。

業務 使ったAIの種類 具体的な使い方 確認する指標 必要だった体制
定型書類の処理(見積書・注文書・請求書) 文書読み取り・照合AI 不備チェックや転記の下書きをAIが作成し、人が確認 回答までの日数、入力の誤りの件数 既存の事務担当者が手順書をもとに運用
会議の議事録作成・社内問い合わせ対応 議事録要約AI・自動応答AI 会議の要約作成、定型的な問い合わせへの自動応答 確認の往復回数、担当者以外で対応できた件数 既存の担当者が運用、専任者は不要
属人化した技術者の判断の引き継ぎ 判定支援AI(AIエージェント) 判断基準をヒアリングして登録し、判定案と根拠を提示 担当者以外でも対応できた件数 技術者へのヒアリングのみ、運用は既存担当者
注意

表内の「会議の議事録作成・社内問い合わせ対応」は他社の公開事例を参考にした一般的なパターンで、「属人化した判断の引き継ぎ」は当社が想定する活用例だ。いずれもAiPHAでの導入実績の数字ではない。

見積書・注文書・請求書など、定型書類の処理

見積書や注文書、請求書といった定型書類は、AIに不備チェックや転記の下書きをさせます。人は確認だけに回る使い方が中心です。申込書PDFの不備をチェックし、指摘メールを作成する例がある。Excel台帳への転記まで自動化した例も紹介されている(出典:japan-ai.co.jp)。

事務職向けの活用パターンは複数ある。

  • 請求処理
  • 領収書のCSV変換
  • 書類作成
  • データ入力

注文書PDFを商品マスターと照合し、受注一覧のExcelに自動入力する。判断がつかない明細だけ、人に戻す使い方も考えられる。

会議の議事録作成と、社内の問い合わせ対応

会議の議事録作成や要約、社内のFAQ・ナレッジ検索にAIを使う例が紹介されています。背景には労働力人口の減少があり、2070年には総人口が8,700万人まで落ち込むと予想されている(出典:tdc.co.jp)。

定型的な問い合わせにAIが自動応答する。人は複雑な案件に集中する使い方も紹介されている(出典:optipschannel.opt.ne.jp)。総務・バックオフィスの問い合わせ対応でも、よくある質問への一次回答はAIに任せられる。判断が必要な案件だけ、担当者が対応する形に近い。

属人化した技術者の判断を、AIに引き継ぐ使い方

技術者や特定の担当者しか判断できない業務は、判断基準をヒアリングしてAIに登録し、判定案と根拠を出す形で引き継げます。問い合わせごとに受注可否の判定案と根拠を提示する使い方が想定例として考えられる。これは導入実績の数字ではなく、当社が想定する活用例である。判断基準をどこまで整理してAIに渡すかは、社内データを生成AIで使う準備は1業務だけでよい記事で扱っている。

他社の「削減時間」を、そのまま自社の目安にできない理由

他社が公表する「削減時間」という数字は、その会社の業務量や体制に基づいています。条件が違う自社には、そのまま当てはまりません。処理する書類の件数や担当者の人数、業務フローが違えば、同じAIエージェントを使っても削減される時間は変わる。

効果を測るには、削減時間の数字より先に、自社の業務で何が変われば成功かを決める必要がある。

  • 定型書類の処理:入力の誤りの件数
  • 会議・問い合わせ対応:確認の往復回数、対応できた件数
  • 属人化した判断の引き継ぎ:担当者以外でも対応できた件数

当社がPoC開発で検証するときも、削減時間を最初の目標にはしない。まず対象業務で確認する指標を決め、検証期間中の実測値と比べることで、自社にとっての効果を判断する。

削減時間が使えない理由
  • 処理する書類の件数が違う
  • 担当者の人数や業務フローが違う
  • 確認すべき指標は業務ごとに異なる

AI担当者を置かずに、誰がどう導入と運用を回すか

専任のAI担当者を置かない前提で、まず無料相談を使って課題を整理するところから始められます。開発内容が決まっていない段階でも相談でき、AIで解決できる範囲を確認したうえで、対象業務を絞り込んでいく。

導入後の運用も、既存の総務・事務担当者がそのまま担う前提で進める。新たに専任の技術担当者を採用する必要はない。ここでは、最初の相談で決めることと、検証後の運用の担い手を順に見ていく。

  • 最初の相談で、何を決めておけばよいか
  • 検証が終わったあと、日々の運用は誰が担うか

最初の相談で、何を決めておけばよいか

最初の相談では、現在の課題と作業内容を話すだけで十分です。30分の無料相談で、AIで解決できる範囲の説明を受けられ、開発内容が未定の段階でも相談できる。対象業務や開発する機能は、この時点で決めなくてよい。

検証が終わったあと、日々の運用は誰が担うか

検証が終わったあとの日々の操作は、既存の担当者が手順書をもとに行います。新たに専任の技術者を置く必要はない。追加の開発や保守が必要になった場合だけ、その都度外部に依頼する形で回せる。

情報漏えいとAIの誤回答、何を確認しておけばよいか

確認すべきは「自社のポリシー」「取引先との契約条件」「業界や国の規制」の3つだ。これらをクリアするAIサービスを選ぶのが前提となる。

  • 自社のポリシー
  • 取引先との契約条件
  • 業界や国の規制

この3つのどれかを満たさないAIサービスは、便利に見えても選択肢から外れる(出典:tdc.co.jp)。中小企業では専任の法務担当者がいないことも多く、契約前にこの3点を確認する手順を決めておくと、あとから判断しやすい。

AIにデータを渡す前に、NDAで決めておくこと

着手前にNDA(秘密保持契約)を結びます。使うデータ・利用するAIサービス・アクセス権限・保存や削除の方法を確認しておきます。この4点を契約前に文書で確認しておくと、後から「聞いていない」という行き違いを防げる。

外部のAIサービスに情報を送る場合は、合意した範囲だけで行う。社内データをどこまで外部に渡してよいかの線引きは、ChatGPTでRAGを試すやり方の記事でも扱っている。

AIの誤回答(ハルシネーション)は、どこで人が止めるか

最終確認は必ず人が行う設計にし、AIには判断の手前、下書きや候補の提示までを担当させます。受注可否や金額の最終判断をAIだけに任せず、人が確認する工程を必ず残す。

検証では、回答までの日数や確認の往復回数、入力の誤りの件数などを確認する。精度が足りない部分が見つかれば、検証の段階で調整する。

AIと人の役割分担

AIが担当する範囲

  • 下書き・候補の提示
  • 定型的な問い合わせへの一次回答
  • 注文書の照合・転記

人が最終確認する範囲

  • 受注可否や金額の最終判断
  • 複雑な案件への対応
  • 判断がつかない明細の確認
この記事で使った出典

AIサービス選定で確認すべき3条件と労働力人口の減少に関する予測は、tdc.co.jpを参照した。日本政策金融公庫のAI導入率の調査は、japan-ai.co.jpを参照した。自動応答の活用例は、optipschannel.opt.ne.jpを参照した。

自社の総務・バックオフィス業務は、どの事例に近いか

AI活用に向いているかどうかは、毎日・毎週くり返し発生する業務かで判断できます。手順が説明でき、過去の記録が残っているかも見る。見積書・注文書のように毎回フォーマットが近く、過去のデータが蓄積されている業務ほど、AIに任せやすい。

AI活用に向いている業務の見分け方

過去の記録が残っている業務は、照合や転記から任せやすくなります。属人化した判断も、判断基準さえヒアリングできれば対象にできる。

  • 毎日・毎週くり返し発生している
  • 入力・照合・下書き・検索など手順が説明できる
  • 過去の記録(見積書・注文書・対応履歴など)が残っている
  • 最終確認は人が行い、AIはその手前を担当できる

いきなり任せないほうがよい業務

過去の記録が残っていない業務、または毎回条件が大きく変わる業務は、最初の対象にしにくくなります。最終確認を人が行える設計にできない業務も、最初の対象からは外したほうがよい。判断の根拠が説明できるかどうかが、対象業務を選ぶ分かれ目になる。

貴社の課題をAIで1つずつ解決いたします。

1つの業務にしぼってAIエージェントを作るPoC開発を是非ご検討ください。開発・検証20万円〜。話がまとまっていなくても、お気軽に相談してください。

PoC開発で、社内AI活用の最初の一歩を踏み出す

最初の一歩は、開発内容を決めないまま無料相談で課題を話すことから始められます。相談からご提案までは無料で、対象業務が決まっていない段階でも申し込める。

当社のPoC開発は、一つの業務に絞って検証する前提で進める。複数の業務を同時に検討する必要はない。

無料相談から検証までの4ステップ

無料相談から検証までは、4つのステップで進みます。開発・検証は**20万円〜**で、対象業務と開発範囲に応じて見積もる。

    1. 無料相談(30分):現在の課題と作業内容をヒアリング
    1. ご提案・お見積もり:対象業務と機能を決定、NDAを締結
    1. 開発・検証(10日):実データで動作確認・調整
    1. 業務で利用開始:手順書を渡し、そのまま運用開始

通常のシステム開発と、何が違うか

通常のシステム開発は複数の業務をまとめて要件定義し、数か月〜1年かかります。PoC開発は一つの業務に絞り、10日間で検証まで進める。検証で終わらせず、そのまま業務で使い続けられる前提で作る点も違う。費用や期間の内訳は、AIエージェント開発の費用と見積もりの内訳の記事に詳しい。

よくある質問

専任のAI担当者がいない会社から、社内AI活用について寄せられる質問をまとめた。

自社の状況に近い質問から読むと、判断材料をすぐ見つけられる。

AIを社内で活用している事例はありますか?

専任のAI担当者がいない会社でも、AI活用を始めている例がある。対象になるのは、見積書や注文書などの定型書類の処理、社内の問い合わせ対応、属人化した判断の引き継ぎといった業務だ。本記事の業務別の表で、具体的な使い方と確認する指標をまとめている。

AIの活用事例の一覧はどこで確認できますか?

AIの活用事例は、本記事の業務別の表にまとめている。各業務をさらに詳しく知りたい場合は、記事内でリンクしている専用記事も参考にできる。

専任の担当者がいなくても、AI活用は始められますか?

外部の無料相談を使えば、開発内容が未定の段階からでも課題整理を始められる。専任の担当者を新たに採用する必要はない。

AIツール選びで失敗しないためのポイントはありますか?

自社のポリシー、取引先との契約条件、業界や国の規制の3つを確認する。詳しい確認方法は、本記事の「情報漏えいとAIの誤回答」の見出しで説明している。

まとめ

  • 専任のAI担当者がいなくても、定型書類の処理・属人化した判断の引き継ぎ・社内の問い合わせ対応のような、くり返し業務からAI活用を始められる
  • 他社の削減時間の数字より、自社の業務で何が変われば成功かを先に決める
  • AI活用に向いているのは、毎日・毎週くり返し発生し、手順が説明でき、過去の記録が残っている業務
  • 情報漏えいやAIの誤回答への対応は、NDAでの確認と、最終確認を人が行う設計で対処できる
  • 導入・運用の体制は、詳しい手順を社内AI導入前に決めておく社内ルールとリスク対策の記事にもまとめている

まずは自社の業務のうち、毎日・毎週くり返し発生し、過去の記録が残っている業務を1つ書き出してみてほしい。無料相談では、その作業内容とAIで解決できる範囲を確認でき、対象業務や機能をこの段階で決めておく必要はない。フォームから相談できる。